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「母の待つ里」
浅田次郎著 新潮社
本の内容に予備知識のないまま読み始めました。
40年ぶりで故郷を訪れる男性。
実家に帰る道も覚えていない?
母に対して、他人行儀の話し方、、、
挙げ句の果てに、母の名前を尋ねる、、、
不思議に思いながら読みすすんでみたら、
そこは故郷でなく初めて訪れた限界集落。
母と称する人とも初対面。
プレミアムクラブの一泊二日50万円の
いわゆる「ふるさとごっごの旅」でした。
作られた故郷を訪ねるのは、、、
会社役員の独身男性
退職と同時に妻に捨てられた男性
実母を亡くして間もない独身女医
三人とも「還暦世代」設定。
妻に捨てられた男性は、一泊二日しただけの地に
先祖の墓を移して、自分も越してくると言う。
まさか! と思いながら読んだわけで。
登場人物には独身の女医さんもいましたが、
全体的に男性目線の描写で書かれていました。
そうか、、、還暦世代の男性が求める故郷と
お袋はこんな感じなんですね。
実際には、ありえない理想像ゆえ、、、
一泊二日50万円もするプレミアム故郷旅という
設定に納得できました。
それにしても、登場人物86歳の千代さん・・・
男性が理想とするおふくろ役を見事に演じ切って
素晴らしかったです。
故郷は、幼い頃の思い出とともにあるもので、
お金で買った束の間の作られた「ふるさと」
原風景だけの故郷では寂しすぎませんか?
それでも人は、安らぎを求めて訪ねたくなる
ものなのですね。
一泊二日50万円の内訳が知りたかったけれど
それは作者の意図ではなかったみたいで、
書かれていませんでした。
記憶に残る読後一冊の本でした。。。