還暦頃から血液検査のたびに「悪玉コレステロール値が高い」と
注意され薬(リピトール)を処方されていました。
・・・が、当初は食事や運動療法でなんとか改善しようと薬は袋に
入れたまま飲まずに放置。
・・・とはいえ、いい加減なもので運動不足は相変わらずで、、、
ちょっと心配になると思い出したように薬を服用して、また放置の
繰り返し。
ところが、ある時読んだ本に「ドキッ」!とした訳で。
(本より抜粋)
用事があって町に行き、大きな駐車場に入った。(略)
オリーヴ・キタリッジの夫ヘンリーは車のドアを開け、長い足から先に出る。
最後までドアが開いて、チェック柄の背中が見えたと思ったら、その全身が
ふらっと揺れて地面に倒れていた。
オリーヴは救急車が来るまで必死に呼びかけていた。ヘンリーは口が動いて、
目が開いて片手をしきりに突き出していた。
(略)
ヘンリーは車椅子に乗って、目が見えなくなっていつも笑った顔になっている。
「もしわかったら、あたしの手を握って」とオリーヴは言うのだが反応はない。
医者の説明によれば、コレステロール値が高めだったのだから、リピトールか
何か、その値を下げる薬を服用していればよかったのかもしれない。
だが自分では薬を飲みたがらない薬屋というのも、めずらしくない。
ヘンリーは元薬屋で卒中で倒れ、その後亡くなったという筋書きですが、、、
ここまで具体的に処方された薬名まで書かれていると、ただの小説とは思えず
「これはちゃんと飲まなくては!」と反省させられた次第です。
「オリーヴ・キタリッジの生活」エリザベス・ストラウト著
アメリカ北東部にある小さな港町クロズビー。一見何も起こらない町の暮らしだが、
人々の心にはまれに嵐も吹き荒れて、いつまでも癒えない傷痕を残していく―。
住人のひとりオリーヴ・キタリッジ(女性)は、繊細で、気分屋で、傍若無人。
その言動が生む波紋は、ときに激しく、ときにひそやかに周囲に広がっていく。
人生の苦しみや喜び、後悔や希望を静かな筆致で描き上げ、ピュリッツァー賞に
輝いた連作短篇集。
今は続編「オリーヴ・キタリッジ、ふたたび」を図書館で借りて読んでいます。
癖があり頑固だが、ときにやさしく勇敢なオリーヴ・キタリッジ。
老境を迎えた彼女の日々と、海岸沿いの町クロズビーの隣人たちの
悲喜こもごもをつづった傑作ぞろいの13篇を収録。
ピュリッツァー賞を受賞した傑作『オリーヴ・キタリッジの生活』
11年ぶりの続篇